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蓮井元彦「さくら」ZINE
210 x 297mm、43ページ
2025年5月10日発行、私家版
さくらの咲く時期が近づき、そして、遠ざかる。それは人との出会いのようだ。僕は写真撮影という行為を通して世界と交差する。「写真を撮影する」という行為と出会っていなかったなら、この景色や人々とは出会っていなかった。その代わりにきっと今とは異なる世界と出会っていたのだろう。想像もつかないし、良し悪しではないのでそれはそれで良い。硬い表現にはなるけど、僕は写真を通して社会を学んでいるのだと感じる。僕がもしスーパーの店員だったなら、接客や掃除や棚出しの仕事や同僚との人間関係を通してそれを学んでいただろう。(昔、スーパーでバイトしていた経験から想像する)今思うと環境はなんでも良いのだと気が付く。大切なのは他者と関わるという事で、そうすると自分が見えてくる。自分について知る事で、他者や社会への理解が深まる。僕にとってはさくらを撮りに出かけることもきっと世界と関わるための口実のようなもので、本当にさくらが撮りたかったのかと聞かれると分からない。さくらでなくても良かったのかもしれない。けれども、さくらは毎年何食わぬ表情で咲き、その光景は確かに僕のこころを動かす。
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“Sakura” Zine by Motohiko Hasui
ZINE SERIES VOL.3
Self-published in 10th March 2025
210 x 297mm, 43 pp